初診日が見つからない。第三者証明の使い方。
障害年金は初診日の前日において、保険料納付要件を満たしている事が要件のいつとされてお
り、初診日がいつかの判断を適正に行う必要があります。一方、疾病の発症・受診から相当な
期間を経て(例えば、医療法のカルテ保管期間5年経過後等)重症化した疾病により請求する
事例も増え、初診日が特定できず、障害年金の請求が出来ず、申請を断念するケースが少なく
ありません。
そうした時に二十歳前傷病の障害基礎年金請求に限って、救済策が用意されていました。
それがいわゆる「第三者証明」です。
平成27年10月1日、国民年金法、厚生年金保険法等の施行規則が改正され、第三者証明の扱い
が、全ての障害年金請求者に適用されるようになりました。
第三者証明に関連する大きな変更点は、以下の通りです。
1)初診日頃に請求者を直接診た医師、看護師、その他医療従事者の第三者証明は、「他の
資料がなくとも」初診日を認定する資料とされました。
2)1の場合、第三者証明は複数である必要がなくなりました。
1.第三者証明の意味と位置づけ
初診(受診)の証明は、本人の申立等及び記憶に基づく受診証明のみで判断しないとされていま
す。では、「医療機関が廃院になってしまった」「初診日が古く、カルテが破棄されてしまっ
た」「その他の資料も全くない」等の場合、どのように請求すればいいでしょうか。
第三者証明は、こうした事態に際して用意された請求方法で、「二十歳前障害による障害基礎
年金請求において初診日が確認できる書類が添付できない場合の救済措置」として運用されて
いました。
平成27年10月の厚生労働省令では、「請求者が20歳前に発病し、医療機関で診療を受けて
いたことを明らかにする第三者証明により、請求者申立ての初診日を認めることができることと
する」と明記されたものの、「認める」ではなく、あくまで「認めることができる」と何とも曖
昧な記載となっています。
また、20歳後における第三者証明についても規程されましたが、あくまで「第三者証明ととも
に、初診日について参考となる他の資料の提出を求め、両資料の整合性等を確認の上、初診日と
して認めることができる」とされました。
つまり、第三者証明自体は、何ら資料がない場合の請求方法というわけではなく、あくまでも
「初診日を合理的に推定するための参考資料」との位置づけとなります。
特に、20歳以降に初診日がある場合の第三者証明については、それを単独では初診日と認めて
くれない場合が多く、原則、診察券など客観的な他の資料の添付が必要となります。
また、通常、請求日(初めて障害年金を請求した日)から5年以内であれば、診療機関に診療録
が残っているはずなので、第三者証明は「第三者が本件疾病について聞いた日が、5年以上経
過」している必要があります。
医療従事者(医師、薬剤師、理学療法士、精神保健福祉士など医学的な業務に従事する方)に
よる第三者証明については、1枚で良いとされています。
医療従事者以外の第三者の場合、以下の点に特に注意する必要があります。
1)「見て知った場合」・・通院の付き添い、入院のお見舞いや医師(医療機関)の発行の診断
書等を直接見たか整理しておく。
2)「聞いて知った」・・本人・家族から本件疾病について聞いたか整理しておく。
3)申立時、請求者の民法上の三親等内の親族の場合、第三者として認められない。
4)よって、単独の第三者証明では、足りず原則、複数人の第三者証明で初診を証明
を主張する必要があります。
2.第三者証明に記載してもらう内容
平成27年10月の厚生労働省令で、記載項目について具体的に列挙しています。
1)申立人(第三者証明を記載してくれる人)について
氏名・現住所・電話番号・請求者との関係
2)初診日頃における医療機関の受診状況について
傷病名、初診の時期、医療機関名・所在地・診療科
3)第三者から見た請求者の状況について
発病から初診日までの症状の経過、初診日頃における日常生活上の支障度合い、受診契機、
受診状況を知り得た状況、など
最終的には資料の信ぴょう性が問われることとなりますので、無理に全てを埋める必要は
ありませんが、出来る限り埋める必要があります。
3.一定期間の取り扱い
初診の病院が廃院、初診院以降の医証(診断書、受診状況等証明書、診療録等)に「平成〇年
頃、始めて〇〇メンタルクリニック」を受診と書かれている記録から、初診日を証明する場合
があります。
これを「一定の期間」と言い、これを初診日として確認した場合には、以下の要件が必要になり
ます。
1)診察券等客観的に認められる資料の添付が必要になる。
2)一定期間のいずれの時点においても保険料納付要件を満たす必要がある。