一言、障害年金(精神)に関する疾病といっても数多くあります。
今回から、数回にを分けて、障害年金の適用に該当する疾患をご説明いたします。
1.うつ病(ICD10コード:F32)
特徴 気分障害の一種。気分が落ち込んだり行動意欲が失われたり、その状態が長く続きます。
症状 憂うつ気分、もの悲しい、落ち着かない、劣等感に悩む、絶望的になる、イライラするといった
気分の低下、何事にも意欲や関心がわかない、考えがまとまらない、決断力が失われる、内に
こもるといった意欲の低下、肩がこる、眠れない、食欲がない、疲れやすい、体重が減る
といった体の不調、飲酒量が増えることや症状が重いと自殺願望が生じるおそれもあります。
単なるこころの病と片付けることは出来ません。
原因 はっきりと解明されていないが、生活環境や職場環境によるストレスが引き金になりやすいと
言われている。仕事熱心、責任感が強い、まじめで几帳面といった性格の人がなりやすいことが
わかっています。
2.双極性障害(ICD10コード:F31)
特徴 気分障害の一種、気分が落ち込んだり行動意欲が失われたりして、その状態が長く続きます。
症状 「双極I型障害」の特徴は以下のとおりです。
1.うつ状態に加えて激しい躁状態を起こす。ほとんど寝ずに動き回り、多弁になって周囲に休みなく話し続け、家族を疲労困憊させる。
2.高額な買い物をして多額の借金を抱えるなど、社会的適信用を失うこともある。
3.易怒性が強く、家族にも暴言を吐き、近隣住民ともコミュニケーションが取れない。
4.法的な問題を引き起こし、社会信用を失墜させてしまうこともある。
「双極II型障害」の軽躁状態の特徴は以下のとおりです。
1.周囲に迷惑をかけることはないが、いつもとは人が変わったように元気で、人間関係に過剰に
積極的な感じになり、周囲を困惑させる。
2.この状態で主治医の診察を受け、障害の判定や程度が軽く書かれてしまい、困ることも多々ある。
原因 まだはっきりと解明されてないが、精神疾患の中でも最も脳や遺伝情報などの身体的な
側面が強いと考えられており、精神療法やカウンセリングだけで根本的な治療をすることは
できない。どんな性格の人でもなりうると言われています。
3.統合失調症(ICD10コード:F20)
特徴 不安や幻覚、被害妄想などに見舞われる。人とトラブルを起こす。集団生活が
できなくなる、集中できないなど、生活に支障を生じる。周囲とのコミュニケーションが
難しくなり、1人で悩みがちになる。突然、涙が止まらなくなる等感情の調整が困難になる。
症状 自分の悪口を言われていると思ったり、ありもしないことを考えて確信してしまったり
して、周囲を混乱させる。発症直後や再発時にみられる”陽性症状”として、思い込み、被害妄想が
激しくなる、疑い深くなる、幻聴が聞こえる、奇異な行動、思考の混乱等があります。長期間に
みられる”陽性症状”として、社会的に引きこもる、感情が鈍くなる、言動に一貫性がなくなる、
注意力や集中力の低下、無関心、意欲低下。他に、記憶力の減退、融通性の低下、作業が遅くなる、
話を理解しにくくなる、極端に疲れやすいといった障害もあります。
原因 生まれつきの体質と生活の中でのストレスがきっかけで、脳の働きに不調が起こるもの
と考えられている。具体的には、脳内で神経を興奮させるドーパミンが過剰に分泌されること
や、興奮を抑えるセロトニンが不足することで不安や混乱が生じやすい状態になることが原因
ではないかとみられるています。
4.てんかん(ICD10コード:G40)
特徴 てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されるが、 具体的に
出現する臨床症状は多彩です。また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するもの
から、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々です。
さらに、てんかん発作はその重症度や発作頻度以外に、発作間欠期においても、それに起因する
様々な程度の精神神経症状や認知障害などが、稀ならず出現することに留意する必要がです。
てんかんに起因する障害等級は以下のとおりです。
等級 1級・・充分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが月に1回以上ありかつ、常時
援助が必要なもの
2級・・充分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、
C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級・・充分な治療にかかわらず、てんかん性発作のA又はBが年に2回未満、もしくは、
C又はDが月に1回未満あり、かつ、労働が制限を受けるもの
認定等 てんかんの認定に当たっては、その発作の重症度(意識障害の有無、生命の危険性 や社会
生活での危険性の有無など)や発作頻度に加え、発作間欠期の精神神経症状や認知障害の結果、日常
生活動作がどの程度損なわれるが重要です。
そのためにどのような社会的不利益を被っているのかという、社会的活動能力の損減を重視した
観点から認定することになっています。
様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認知障害を有する場合には、
治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定されます。
また、てんかんとその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の
取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。
てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療によって抑制される場合にあっては、
原則として障害年金認定の対象になりません。
5.発達障害(ICD10コード:F80)
発達障害は主に4つに分けることができます。
1.意欠陥多動性障害(ADHD)
特徴:不注意・多動性・衝動性
落ち着きや集中力がなく私生活に支障をきたす状態や症状。不注意によりモノを失くしやすい。
多動性により静かにしておかなければいけない状態でも体をうごかしてしまう。衝動性によりすぐに
カッとなってしまったり、思い立ったことをすぐに行動にうつしてしまう。
2.学習障害(LD)
特徴:一部の学習面で極端に困難がある。
読み書きや計算といった一部の学習が上手くできない。大きく苦手な状態があります。
3.自閉スペクトラム障害
特徴:対人関係、コミュニケーション能力に障害、感覚が非常に敏感。
自閉症やアスペルガー症候群などが含まれます。対人関係では協調することが苦手であったり人の
気持ちを理解しにくいなどがあげられます。マイルール等の強いこだわりが見られるのも特徴です。
対人関係が苦手である一方、興味の向いたことに関して記憶力、集中力などが高いといった側面も
見られます。
4.知的障害
特徴:全般的な事で発達が平均よりも緩やか。
わかりやすい数値としてIQが70より下の場合が知的障害に充てはまる。IQの値や適応機能の評価で
重度~軽度にまで分けられています。
経度・・IQ70 言語がゆっくり。18歳以上でも小学生レベル
重度・・IQ20~35言語発達、運動機能の遅く、身の回り困難。食事等介助必要
言語能力・運動能力・社会性・適応能力の発達に遅れが見られます。
発達障害の要因は遺伝的なものが一因とされていますが、はっきりとは解明されていないようです。
というのも発達障害のない親から障害をもつ子供が生まれたり、その逆の例もあるからです。また、
外部要因として育つ環境から受ける影響なども関係していると考えられ様々な要因が重なり障害が
出てくるとも言われています。知的障害の要因は遺伝子的なものから病理的、心理的、環境的要因
など様々です。感染症や中毒症などの要因もあるので、妊娠中は食べ物や環境に気を付けてる必要
があります。その他、出産時の酸素不足や、出産後の事故、栄養不足などの要因もあります。